和歌山市のパソコン教室★明日香コンピュータ★

「先生、帰ってきたよ～」
いきなりの電話にビックリ！

独身時代に勤めていた養護施設で担当したＭ君…といっても、今はすでに４０歳のオジサン。
家庭を持ち、お嫁さんと子供２人の良き父親になっている。

私が担当した当時は、勉強もしないで、何かあると泣いてばかりの小学生だった。
喘息だったため、遠足や運動会などもお休みする事の多い虚弱児だった。
両親の離婚により家庭的には恵まれない子だった。

お正月も夏休みも面会に訪れる肉親、親戚は誰もいないため、
私の実家へよく連れて帰った。

結婚と同時に退職した私だけれど、今なお覚えてくれているらしく
仕事の休みがとれると、家族揃って、今日のようにいきなりやってくる。

普通なら両親が待つ家に帰るのだろうが…彼には故郷がない。

うっすらと記憶に残る母親を探したいと言って、反対する私にムッとした事もあったけれど、
今はもうその事には触れなくなった。。。

親の愛情を知らずに育った為、自分の家庭は思いっきり大事にしたいと言う。
お盆休みもなく働いたという身体は日焼けして真っ黒！
お嫁さんと二人で始めた美装会社も順調で、今は従業員も何名かいるという。

　私　　「奥さんが経理しているの？」
　Ｍ君　「違うよ、僕がしてるよ。給料計算までバッチリよ」
　私　　「ひぇ～、あんた、通知簿すっとこやったのに。算数の宿題できなくて泣いてたやん」
　Ｍ君　「漢字は読めやんけど、計算はできるようになったで～」

家庭的にも健康にも恵まれない環境にめげず、精一杯生きている姿に昔の面影はない。
けれど、
「いつもで帰ってきたらいいよ！」と言ったら、うれしそうに笑った。
あの頃の少年の時の笑顔だった。